有能なマネージャーであるジョー・ラスティグは、1968年5月17日に1stアルバムを発表した翌月の6月29日のフェスティバル・ホールから彼らペンタングルを再スタートさせる事にしました。
それまでホースシュー・クラブにレギュラーとして出演していたペンタングルを、ジョーは“次のステップのために”このステージへ立つのを終わりにしました。そしてバート・ヤンシュ、ジョン・レンボーン、ジャッキー・マクシー、ダニー・トンプソン、テリー・コックスの各メンバーのソロ活動も約5年の期間を封印させバンド活動に専念させる事になります。ただバートやジョンのソロ・アルバム制作は例外です。
ペンタングル結成後もホースシュー・クラブで自由気ままに演奏していた頃もバートとジョンは他のライブ・ハウスにもソロとして演奏活動を続け、ジャッキーやダニーとテリーのコンビも他のミュージシャンとステージにも立っています。
*ジャッキー・マクシーの証言
『深夜の3時にやっとベッドに入る事もあったし、ジョンとバートのアパートに泊めてもらって部屋のソファで睡眠をとった事もある。そんな風に無理をして生活のために続けていた仕事(ジャッキーのソロ活動)も辞めるしかなかった』
食べていくために数多くのステージをこなしていたジャッキーは、やがてペンタングルとしてのステージの仕事が大幅に増えソロ活動が困難になります。そしてマネージャーの働きによってステージの出演料だけでも生活が安定する収入になり、バンドのヴォーカルとして専念出来る時期になったと考えられます。
今でも有名なこの時代のミュージシャンによく聞く話ですが、あのジャズ界の帝王マイルス・ディビスの伝記にもありましたが、数枚のアルバムをすでに出し毎夜大勢の客の前で演奏していたにもかかわらず収入が少なく借金をしていたようです。
ま、ともあれ敏腕マネジャーを得たペンタングルはこの6月29日のフェスティバル・ホール出演を境に本国のイギリス全土、アメリカ、ヨーロッパでの人気と知名度が上昇して行く新たなる出発になります。
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*「The Pentangle/The Time Has Come」のリーフレットを参照/参考させていただいています。
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