生徒さんの中に少しご高齢の方がいましてその方のためにいろいろな曲をアレンジしています。
もちろんブルースやジャズ、バッハの曲もレッスンしていますが、その他にお好きな希望の曲も市販されている曲は一切使用せずに僕がアレンジしたオリジナルの楽譜を渡しています。
市販されている楽譜をレッスンに使わないのは著作権が主な理由ですが「おもしろくない編曲」が多いためです。
で、
今その生徒さんのためにアレンジしているのが童謡の「とうりゃんせ」です。
特にこの曲をアレンジしようとした理由はなくただ思いついただけなのですが、これが大変おもしろい!
それに子供の頃から聞き覚えのある知っている童謡は不思議な曲ばかりです。
この曲の歌詞を書きますと、
~とうりゃんせ~
♪通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの細道じゃ
天神様の細道じゃ
ちょっと通して下しゃんせ
御用のないもの通しゃせぬ
この子の七つのお祝いに お札を納めに参ります
行きはよいよい 帰りは怖い
怖いながらも 通りゃんせ 通りゃんせ ♪
ネットで調べるといろいろな解釈を述べたサイトがありましたがどれも確かな意味はわかりません。
一応現代風の言葉に直すと(ちょっと落語風ですが・・・)、
「ささ、お通りなさい、お通りなさい」
『あの、ここはどこへ続く細道(街道)ですか?』
「天神様へ通じる道ですよ」
『ちょっと通してくれますか?』
「用のない人は通されへん!」
『・・・実はこの子の七つになったお祝いにお札を納めに参りたいのですけど』
「そうか、せやけど行きはエエけど 帰りは怖いで。 それでもエエのんやったらたら通りや」
ま、だいぶんと意訳していますが、多分母親が自分の7歳になった子供のために天神様へお参りに行く途中にえらそうな役人のような者に道を尋ねている様子に思えるのですが「行きは良い良い帰りは怖い」の歌詞の意味がよくわかりません。
「行ってもいいけど 帰りは怖いで」ていったい何が怖い?
各サイトにはそれなりの解釈は載っていますのでそちらを参照にしてもらうとして、僕が問題なのはこの歌の旋律、メロディです。
当然ギターにアレンジするので楽譜に書こうとしたのですが、この曲は「自然短音階」つまり「エオリアン・モード」ではないか!?
ゲッ!? そうやったんや。
で、どんな音階かと言うと、
簡単に述べるとラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラの音階なのです。
が、この音階の音だけで作られている曲は現在にはほとんどありません。
短音階・・・短調ではあるのですが、今の短調の曲、例えば演歌などでよく歌われる短調の音階はこの音階だけでは作られていません。
と言うのも長調は一種類です(代表的なのはハ長調)が、短調は三種類あります。
①自然短音階
②和声的短音階
③旋律的短音階
が混ざって短調の曲は作曲されています。
まあ、ややこしい話はおいといて、とにかくこの「通りゃんせ」のアレンジは思ったより手強いゼ!!
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と、いう事で更新終了!
日本の童謡の中で誰の作がわからないものが多いのは口承で伝えられているトラッドが殆どなので“楽譜”として残っているのはまず見当たりません。
楽譜があるのは近代になってから童謡作家が作曲した明治、大正、昭和の作かどなたかが譜面に起こしたものです。
もともとブリティッシュ・フォークが大好物なので英国やスコットランド、ウエールズ、アイルランドのトラッドの中にも“チャイルド・バラッド”“チャイルド・ソング”のような“童歌”には馴染みがあるのですが日本のトラッドのには怖そうな歌が多いですね。
その中でも“かーごめ かごめ かごの中の鳥は”で有名な「かごめ かごめ」はほとんどホラーの世界を思わせる歌詞です。と、言っても完全に解釈出来ているわけでもないようですが・・・。
こういった日本の童謡を研究している方は多くいるようですがメロディ・・・旋律について追求している人は少なく、これはブリティッシュ・フォーク系のトラッドでもそう言えます。
なんせ歌詞は口承で残っていても旋律は時代とともに変化するし楽譜で残っているわけではないので・・・。
------------------広岡祐一/2012年11月23日・記--------------------
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