ド・レ・ミ・ファ…の音名の名前はいつ頃誰が考えたのか?を講師仲間に問うと、
「…確かなんか曲の歌詞からでしょう?」と中途半端な答えが返って来ます。
まあ、音楽を楽しむのに誰がドレミと言う読み方を考えたはあまり重要ではない
と思いますが、何でも知りたがりの僕にはガマン出来ないので詳しく調べたのが
約10年程前。忘れんうちにここに残しておきます。
各音符にドレミ…と名前を付ければ便利だと考えた人は、11世紀の前半、中部
イタリア地方の修道士グイド・ダレッツオと伝えられています。
たいていの人は好きな曲が歌えると思いますが、これは音符のひとつひとつに歌詞の
シラブルが付いているので意識しないでもメロディも歌詞と一緒に覚えているからです。
ド・レ・ミ…と呼ぶ前にも「メセー」「リカノス・メソン」「パラネーテー・ヒュペルボライオン」等
と学術的に各音の名称はあったのですが大変不便です。
そこでグイドさんが、各音にもっと実用的な簡単な名称がないものか、と思案していると、
修道院でパプテスマ聖ヨハネの誕生を祝う祝日の挽歌、つまり日没の祈りに歌われる賛
歌「Ut queant laxis」の詩(歌詞)の各節の冒頭の言葉の音がひとつひとつ高くなっている
のに気が付きました。
Ut queant laxis
resonare fibris
Mira gestorum
famuli tuorum
Solve polluti
labii reatuem
Sancte Ioannes.
これでわかるように 各節の最初の言葉の冒頭のアルファベッドから
Ut・・・ウト、re・・・レ、Mi・・・ミ、fa・・・ファ、So・・・ソ、la・・・ラと付ける事が出来ました。
ここでふたつ気が付いたと思いますが、「ド」でなくて「ウト」が最初の音名です。
それとウト(ド)・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・・・までで「シ」がありません。この賛歌「Ut queant
laxis」にもうひとつ高い音が続いていれば「シ」も加えて7音全てが揃ったのですが、
残念ながら最後の「Sancte Ioannes」の「Sa」の音は都合よくひとつ上の音ではなか
ったのです。
もしそうであったならウト(ド)・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・サ・ウト(ド)になったかもわかりません。
もちろんこの時代には「ラ」のひとつ上の「シ」の音も実際に使っていて、1オクターブ
は8個の音だと知っています(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド)。
ただ「シ」と呼ぶシラブル・・・音名はしばらくはありませんでした。
ではこの「シ」をどうしていたのか?というと、
ウト-レ-ミ-ファ-ソ-ラ
↓
ウト-レ-ミ-ファ-ソ
といったように最初のウト(ド)から上がってソ音からウト(ド)と読み替えていました。
つまりウト(ド)・レ・ミ・ファ・ソ(ウト)・レ・ミ・ファ・ソ…というように今の「移動ド」です。
しかし名前は付いていないけどもうひとつ高い別の音があるのは知っているので、
なんとかこれにも名前を、と考えるのが自然です。
あとひとつ「シ」の誕生と、「ウト」が「ド」の呼び方に変ったのも理由があります。
次回を待て。
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