J.S.Bachの曲をギター1本にアレンジし始めて90曲を超えて来ました。
もちろん僕の好きなように…ギターで弾けるポジションへの変更等…編曲しているので“間違った”編曲になっているのも多いとは思いますが、まあ、自分のスキルを上げるため、ギタリストが好まない、避けたくなる運指等の指使いも多く出て来るのですが、それが意外な効果的な響きも得られおもしろい!
で、Bachの曲を弾いていてよく思うのは“いつのまにか転調”している、です。
この「転調」を簡単に説明すると主調・・・例えばCメジャー(ハ長調)で始めた曲がAm(イ短調)に調が移る、またはFメジャー(ヘ長調)へ…等でクラシック音楽以外にも多く使われる音楽書法です。
Bachの有名な曲に「平均律クラヴィーア曲集」がありますが、この“平均律”のおかげで音楽で転調が可能になりました。
“平均律”とは音階の音程(ドとミ、ソとシ等の二つの音の間)を少し狂わせてオクターブを12等分した調律の事で、現在の各楽器の音階は特別でない限りこの方法で調律(チューニング)されています。
”平均律”の前は“純正率”と呼ぶ完全な音程を持った音階で、この調律で施された鍵盤楽器で和音等を響かせると完全無敵な完璧な美しい響きを得られる事が出来ます(この調律で演奏されたモーツアルトのピアノ曲集などのCDも発売されちます)。
しかし残念な事にこの方法で調律された楽器では曲の途中で転調、つまり他の調に移れない欠点があります。
その理由はこの“純正率”では…例えば「F/ファ」の半音高い「F#/ファのシャープ」と「G/ソ」の半音低い「Gb/ソのフラット」は音の高さが異なるのです。
ド~レ~ミ・ファ~ソ~ラ~シ・ドを見ると「ファが半音上がったF#」と「ソが半音下がったGb」はギターでもピアノでもその他の全ての楽器では同じです(ホントは音楽的には違う考えですが)。
ギターで④弦の3フレットが「F/ファ」で同じ弦の5フレットが「G/ソ」です。間の4フレットは「F」の半音高い「F#」、「G」から見れば半音低い「Gb」(ひつこいようですが、音楽的にはF#とGbは…音は同じですが…異なる考えです)は純正率では微妙に異なる音です。
まあ、そんな事で異なる調の曲を弾く前にはその都度調弦し直す、途中で転調すれば狂った音程に響くので出来ない…制約があったのですが、この問題を“平均律”の調律で解決しました。
ようするに各音程を少しづつ狂わせたチューニングをしています。
ま、普通の人間には狂っているのは気がつかない、絶対音感を持っている人でもその音に慣れて不快に思わない調律です。
で、「転調」とは曲の中でその曲の本来の主調から他の調へ変わる方法で、曲に変化がつくなどの効果があり、
現在の多くのJ-POPにも普通にとり入れられている方法ですが、バロックの後期頃からこの方法で書かれています。
しかしJ-POP等ではこの「転調」大流行のようです。
イントロから1番の歌詞に入ると半音上がった転調やKeyがFで途中にBm、F#、G#、Em、Dm、Esus4~などと4~6小節毎に転調する曲(ヒットしました)もあります。
僕がまだまだ音楽的な基本も知識も知らない時にEmのKeyで作った曲(この当時はもちろん音符の読書きなどは出来ませんでした)がBmで終わり、なんとかEmに戻そうとしたのを覚えています。
自分で作った曲なのに知らないうちに勝手に転調してしまったのですが、元のKeyに戻れなかったのです。
もちろん転調しても必ず元の調に戻らなければならないことはないのですけど。
と、今回は真面目(?)に書いてしまった…。
それにしても今日も寒いなぁ…
------------------------ 広岡祐一/2012年3月26日記 --------------------------
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