Moonshine music by Bert Jansch
ムーンシャインbyバート・ヤンシュ
灰ノ木の陽気なダンスに耳を傾ける
どうすれば風が私にも同じようにしてくれるのを願えてくれるのか
私は枯れた木のようにここで根付きながら昼と夜が過ぎ去るのを見ているだけ
残酷で邪悪だった主人は私の自由を盗んで勝利を得ました
そして私は今湿った陰惨な牢獄の中で教会の鐘の音で時を知るだけ
黒い死の淵がどこまでも続く空に月明かりは優しく透明です
そしてきらきらと輝く星は回転しながら流れ落ち
夜起きている者の影が叫んでいるように孤独な私に響く
雄鹿、フクロウは塒(ねぐら)から山を降り
高い巣からは鷹、サケは泳ぎまわる場所から勇敢にも私を自由にするために来る
流れる水と優しい息のようなするさわやかな風の夢を見た
牧草地のどこかでセキレイが動きまわり
晴れの日に子どもたちが演奏し踊り
私の悲しみを追い払う甘美な音楽が流れる
1973年にアメリカ資本のワーナーの配下のリプリーズよりリリースされたこの「Moonshine」は1995年にCD化されましたが、それまでのバート・ヤンシュの他のLPレコードの中では長くCD化されなかったアルバムでした。はっきりとした理由は知りませんがどうやら音源であるマスター・テープが行方不明になっていたようです。そして無事に発見された時にバート・ヤンシュ本人が版権を買い本人がCD化発売したようです。(同じくペンタングルの「Solomon’sSeal」のCD化が遅れたとのもやはり同じ理由で、こちらのマスター・テープはジョン・レンボーンが買い取りCD化しています)
1974年にこのアルバムを輸入専門のレコード店で当時に新譜として買ったのですが、その時はそれほど何度も聴きたいアルバムではありませんでした。その頃の僕はバートとジョンの弾くブルースやインストに狂喜乱舞していた時期で、ジャケットの裏面の収録タイトルを初めて見た時にインストが入っていない(なんてこった!)、それに数曲には全く知らないギタリストが弾くエレキ・ギターがバッキングのメンバーに入っていた事が「なんでジョンじゃないの?なんでエレキ?Oh! My God!」と残念無念に思いました。ただダブル・ベースはペンタングルのダニー・トンプソンがサポートし、このレコードのプロデュースも同じくダニー・トンプソンと表記してあったのはうれしかったのですが。
とにかく買った日に初めて針を落とした (この表現も使えなくなった) 後、しばらくは聴こうとしなかったアルバムでした。それが今はバート・ヤンシュのベスト・アルバムに必ず入れたい珠玉の名盤だと思っています(トラッド愛好家の方なら最初に聴いた瞬間から気に入ったアルバムではと思いますが)。
Moonshine/ムーンシャイン収録曲
1.Yarrow (trad.arr.Jansch)
2.Brought With The Rain (Tune trad, Lyrics Bert Jansch) *歌詞はバート作
3.The January Man (Dave Goulder)
4.Night Time Blues (Bert Jansch)
5.Moonshine (Bert Jansch)
6.The First Time Ever I Saw Your Face (Ewan MacColl)
7.Rambleaway (trad.arr.Jansch)
8.Twa Corbies (tard.arr.Jansch)
9.Oh My Father (Bert Jansch)
*ダニー・トンプソンのダブル・ベースが聴けるのは2、4、6、7曲目。2曲目ではバート・ヤンシュを敬愛するラルフ・マクテルがギターでなくてハーモニカで参加。3曲目にはバートの曲では珍しくアイリッシュ・ハープをスカイラ・カンガの哀しげな音色で聴かせてくれます。6曲目の女性ボーカル・ハーモニーはペンタングルのジャッキー・マクシーとばかり思っていたらマリー・ヴィズコンティだった。8曲目の「Twa Corbies」はバートの歌とギターのソロ。あとトニー・ヴィズコンティ(マリーさんの旦那さんか?)が1、3、5曲目をアレンジとリコーダー(それにしてもこの人のアレンジはすごい!)。
バート・ヤンシュ自身が版権を買い取りCD化したのでクレジットには「JANSCH Records」と表記されています。
----------広岡祐一/2013/10/29記----------
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