曲の速度を知るのに便利なメトロノームですが、それまで演奏する曲の速さ…つまり作曲者の意図する速さを「速度記号」で表していました。*Allegro/アレグロ・・・“快速に” Andante/アンダンテ・・・“歩行の早さで” *Lento/レント・・・“遅く”*Largo/ラルゴ・・・“幅広く”など等他にもまだまだありますが、それにLargo/ラルゴの“幅広く”なんて速度を表すより曲の演奏表現になると思います。それにこういった速度記号の真ん中あたりになるModerato/モデラートは“中唐(ちゅうよう)の速さで”といった意味ですが、これではたしてどのような速さなのかわかるでしょうか?
もともとこのModeratoの“中庸の速さで”は「人間の鼓動」の、つまり心臓の動きの速さかららしいです。でもこれでもあまり具体的ではないと思います。
もともとルネサンス~バロック期で演奏される時、その曲の作曲者自らが演奏するか作曲者が立ち会って演奏されていたので作曲者自身が速さを指示していたので間違いはありませんでした。がしかし、時代が進み現在と同じくすでに亡くなった音楽家の作品や名声のある音楽家の曲を他人が楽譜を見て演奏する機会が増えて行きます。
その時にも作曲者が書いた楽譜には「アレグロ・マ・ノン」等の演奏速度の指定が記してあるのですが、この「アレグロ・マ・ノン」は“Allegro、つまり快速で、しかしあまり速すぎず”の意味です。これで作曲者の意図する正しい速度が果たして理解出来るのか少し疑問です。
ベートーヴェンは他人に演奏される時の曲の速さがいいかげなのが多くて困っていたそうです。そこで同じウィーンに住んでいたヨハン・ネポムク・メルツェルという友人が1816年に正確な速さが具体的にわかるメトロノームを発明してベートーヴェンに進呈して最初にメトロノームの恩恵を受けたのが偉大なる音楽家のベートーヴェンだといわれています。
楽譜の最初のの左上に表示している「♪=120」などがメトロノームで正確にわかることが出来ます。この「♪=120」では「♪/8分音符」のひとつの速さが0.5秒になります。4分音符(記号が出ない…)=60と同じで、つまり1分間に♪/8分音符が120回打つ速さになり4分音符なら60回打つ速さです。こういった数字なら感覚的に理解しやすいですが「84」や「136」といった数字になると分かりにくいですよね。
ベートーヴェンはこの友人の発明したメトロノームでそれまで記していた速度記号から具体的な「♪=120」等の表示をれまで作曲した各楽譜にあらためて記したとあります。
といってもヴァイオリン等の個人練習ではメトロノームに合わせても実際の演奏ではこれを使わないので完璧にこの速さで演奏しているわけではなく、特にクラシックでのオーケストラでは演奏時の指揮者の感性やその曲の解釈より左右されているようです。
だから演奏される曲に各指揮者の個性が表れて楽しいと思います。
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