ペンタングルの2枚組のオリジナル2ndアルバムのスタジオ・ディスクはロンドンIBCスタジオで10曲が録音されています。
録音時期は1stと同じ68年で、この2枚を比べてみるとトーンが少し“明るく”なった印象を持ちました。これは1stに比べてよりフォーク色の強い曲が収録されているのが理由なのかもわかりませんが、もうひとつの大きな特徴はバート・ヤンシュのシンガー/ソングライター的資質が顕著に出ているようにも思えます。
1.Sweet Child/スウィート・チャイルド
2.I Loved A Lass/アイ・ラブド・ア・ラス
3.Three Part Thing/スリー・パート・シング
4.Sovay/ソヴェイ
5.In Time/イン・タイム
6.In Your Mind/イン・ユア・マインド
7.I'v Got A Feeling/アイヴ・ガット・ア・フィーリング
8.The Trees They Do Grow High/彼らの育てた木
9.Moon Dog/ムーン・ドッグ
10.Hole In The Coal/ホール・イン・ザ・コール
1・・・バートとジャッキーのデュエットで肩に力を入れずに淡々と歌っているヴォーカル入り曲。メンバー全員でのオリジナル曲で曲調が1stにはなかった明るさを持つ曲です。
2・・・トラッドを原曲にアレンジされた曲。自分を裏切って他の男と結婚した彼女の想う歌。
3・・・ダニー・トンプソンがウッド・ベースをボーイング(弓で弾く奏法)でバロック調の旋律を奏で、続いてバートとジョンのギター、テリーのハンド・ドラムで聞けるオリジナルのインスト・チューン。
テーマがありジョンのアドリブ・パートが秀逸な曲ですが、テーマに戻る際、ダニーが1小節を間違って入っているのがご愛嬌。
4・・・英国のトラッド・シンガー/ソング・ライターでもあるマーチン・カーシーが65年に発表した全曲トラッドのアルバムに収められているこの曲をメンバーのアレンジで聴けます。
タイトルの「Sovay」…ソヴェイはこの曲の主人公である女性の名前。彼女は男装をして馬に乗りある男から指輪を奪う。渡さなければこの拳銃で撃ち殺す。男は「撃たれて殺されても構わない。時計やお金を渡すがこの指輪は大切な恋人に渡す宝物。撃ちたければ撃つがいい!」と言い放つ。
ソヴェイが本当に自分を愛してくれているのかを恋人に確かめるための手段で「もし指輪を手渡していたらわたしはあの銃であなたを撃ち殺していたでしょう」・・・といった物語です。 こわ。
5・・・1stのように作りこまれた感はないのですが軽快でシンプルなインスト・チューン。75年当時この曲をロック・バンドがコピーしていたのを何度か聴きました。ペンタングルもステージでの定番曲として演奏しています。
6・・・バンド全員のヴォーカル入りオリジナル曲で、バート、ジャッキー、ジョンの三人が3つのパートで歌う曲。ゆったりとした旋律に聴こえるのですがダニーのベースがアクティヴに動いています。
7・・・三拍子のブルース・チューン。秀逸なジャッキー・マクシーの歌唱力を評論家が褒めるのがよくわかる曲です。そしてこの曲でもダニーのベースがジャズ的アプローチが堪能出来ます。
8・・・『Sovay』と同じくマーチン・カーシーが発掘した名曲トラッド。
14歳の少年と無理矢理に結婚させられた娘の物語で、彼女に子供が生まれた時は夫は15歳。そしてこの若干15歳の夫は16歳で死に、残された妻は息子の成長を日々見守って生きていくストーリーが語られるバラッド・チューン。ジャッキーのボーカルにジョンのソロ・ギター、そしてテリーのハンド・ドラムのシンプルなアレンジで哀しくそして美しい旋律を持つ名曲です。
9・・・ニューヨーク西50番街の「ベイスン・ストリート・クラブ」の前の路上で演奏していた盲目のストリート・ミュージシャンを偲ぶ歌をドラマーのテリー・コックスがハンド・ドラムだけで歌っています。後にメンバー全員のアレンジでジャッキーのボーカルのテイクも残っておりファンには必聴の音源。
10・・・名トラッド歌手のイワン・マッコール作「The Big Hewer」をヒントにメンバー全員で作り上げたインスト・チューン。ここでも1stと同じくダニー・トンプソンのベース・ソロのすばらしさに出会えます。
☆☆☆☆☆
結局、我が阪神タイガースは2位でCSシリーズに突入。まずジャイアンツに2勝し中日と対戦。その後パ・リーグの覇者と日本シリーズへ。まだまだ野球シーズンは続くゼ!
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。