ラジオの深夜放送を聴いているうちに「フォーク・ソング」が好きになってきた。
この「フォーク・ブーム」のもとはアメリカの学生が「フォーク・ソング≒民謡/トラッド」を
今生きている我々の今の時代の唄を唄おう、古い曲ばかりでなく自由に詞を書いて
自由にメロディをのせて唄おう、とブームが始まり英国に飛び火してその後日本に
この波が押し寄せてきた音楽。
それまで洋楽を聞いた事のない僕にとって英語の歌は新鮮で、とくにフォークは
歌詞はわからなくても簡単な言葉が覚えやすいメロディにのっていたのでどんどん
覚えて行った。
もちろん日本人の唄う「フォーク・ソング」もこの頃になるとプロのフォーク・シンガー
も出て来てラジオでは毎日のように放送されていた。
で、
ギターが欲しくなって来ました。
この頃の楽器屋さんはどこの駅前にでもある商店街の中に一軒はあったのですが
現在のようなギター、エレキ・ギター、ベース、ドラムなどを揃えている楽器店はまだまだ
少なく、商店街にある楽器屋さんもその地区指定の小学校や中学校の教育楽器を主
に取り扱っていました。
カスタネット、トライ・アングル、ハーモニカ、縦笛、時々ピアニカなど。
あとやはり商店街のレコード屋さんの奥に数本のギターが吊られています。
が、殆どはナイロン弦を張ったクラシック・ギターで、鉄弦を張った「フォーク・ギター」は
繁華街の大きな楽器店にしか置いていません。
まして昭和40年代の中学生にギターが買えるお金なんて持っているわけがない。
で、
ある日、隣のおっちゃんが「これほるんやけど やるわ」とクラシック・ギターを
もらいました。
もちろん弾けません。この時に生まれて初めて触ったのですから。
でも鉄の弦を張った「フォーク・ギター」ではないので喜び半分。
と言う事で「フォーク・ギター」に見えるようにプラスチックをハサミで切って
ピック・ガード(ギターの穴の下に付いているあれ)のように貼り付けた。
あと、商店街の楽器屋さんで「おばちゃん 鉄弦ある?」
「あるで。鉄製の弦でなかんか切れへん奴や」とかの会話の後に同じ弦を
なんとか3本ほど買って来て家で隣のおっさんにもらったクラシック・ギターに
適当に張る。
これが数日後にえらい目に会う事をまだ知らなかった中一の僕。
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