「フォークて民謡ちゅう意味らしいで」
「ほな“帰って来たヨッパライ”は民謡か? ちゃうやろ」
とにかくこの時は“ギターを弾きながら唄う≒フォーク・ソング”と思っていましたが、
ギターそのものにも興味がありました。
ナイロン弦を張ったギターはTVの歌番組などで歌の伴奏としてよく登場していたし、
クラシック・ギターでも知ってはいましたが、今ではアコースティック・ギターと
呼ぶのが一般的な当時「フォーク・ギター」の名称のこのギターを初めて見ました。
「鉄の弦 張っているらしい」
「ギターの穴の下に付いているピック・ガードがええな」
エレキ・ギターは当時の“グループ・サウンド”の人気のおかげでTVにもよく登場して
いたのでとりあえずは知ってはいました。
ただし「エレキ・ギター」と「電気ギター」は別物だと思っていたのですが。
「お前、夜中のラジオ聴いているか?」と友人に。
「夜中って何時頃?」
ここで初めて「深夜放送」も知りました。ちょうど中学に入学した頃で、学校の試験の
受験勉強に夜遅くラジオを聴きながら勉強をするのが流行ってきました。
この時代、中学生がひとりに一台のラジオを持てる時代ではまだありませんが、
「鉱石ラジオ」または「ゲルマニウム・ラジオ」が安いのでたいていの家にはありました。
この「鉱石ラジオ」とはラジオ本体がプラスチックの石鹸箱を利用して作られており、
聴くのはイヤホーンです。そして驚くべき事に電源が、つまり普通の電気製品のような
電池やコンセントから電気を供給しなくてもラジオ放送が聴こえる優れものです。
アンテナはコンセントにプラグを差込ます。それだけでラジオが聴けて、もちろん
各局を聞けるツマミ方式のチュナーも付いています。
ただ電力の元になる電池も電源コンセントも使用しないのでボリュームの調整が
出来ません。ピッタリと放送局の周波数に合わすとイヤホンでは耳が痛くなるほど
大きな音で聴こえるのですこし放送局のヘルツをずらして聴いていました。
この「鉱石ラジオ」でラジオの「深夜放送」を知り、フォーク・ソングをいつでも聴ける
ようになりました。もともとどの局も深夜の時間帯は放送休止状態だったのが、
試しに新しく“若者”向けに番組を制作して放送したところ視聴率も高いのに驚き
各局がゾクゾクと深夜放送を流し始めました。
大阪毎日放送では「MBSヤングタウン」、朝日放送は「ABCヤング・リクエスト」等
に人気が出て来てもちろん「フォーク・ソング」もたっぷりと聴けるようになって行きました。
(≒続く)
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