ジャズやブルース等の音楽の魅力はなんと言っても「アドリブ」・・・即興演奏にあると思います。
ライブ等の演奏中にその場で自由に演奏・・・。
もちろんアコースティック・ギターでのフィンガー・ピッキング・チューンにも多くありジョン・レンボーン、ディヴィ・グレアムその他の大勢のギタリストでその演奏が聴けます。
もちろんアドリブ・・・即興演奏は演奏中に自由に弾くものですが、デタラメな演奏ではなく、音楽的なルールの中で自由に・・・の意味ですが。
楽譜を目の前に置いても、その書いてある5線紙上の音符を参考にしながらその時の自由な発想で演奏する場合も多く、リズム等は演奏者に自由に任すようにもともと楽譜にはメモ程度にしか書いてある場合が多いです。
このアドリブと呼ぶ演奏スタイルは、15世紀のバッハの時代にすでにありました。
ただし今のブルースやジャズのように「1コーラス目にテーマが先に演奏され、その後にコード進行に沿ってそのスケールから自由に弾く」と言うスタイルではなくて「装飾音」が中心です。
「装飾音」とはこの字からわかるように「ある音を出す時に装飾して演奏する」事で、一言で簡単に説明すると「ド」がメロディの最後の音ならこの音の前に「シ」を入れる・・・等で、このように弾くと「シ→ド」と音が音階的に繋がりスムーズに自然に聴こえます。
もちろん実際にはこんな単純ではないし、装飾のスタイルも多くリズム等もシンコペーション等で変化をつける事も出来て、イタリアのスタイルでは8分音符が音階的に続く時には付点8分と16分音符や現在のシャッフルのような「イネルガ」と呼ぶリズムで演奏するのが常でした。
そして現在のクラシックの演奏者の中にもこのアドリブを取り入れている演奏家は古楽の演奏者に多く、中でもリュート奏者のようなソリストには必須です。
また、楽譜を見て演奏する方も15世紀あたりまでは「作曲家=演奏家」が本来の音楽家の姿、つまり自分で作曲した音楽をその本人が演奏するのが普通で、楽譜もメモ程度でも充分に演奏が出来たわけです。
それに演奏中にもこちらのメロディの方が良い、と思えばその時に自由に変えたりするので装飾音も自由に弾けたわけです。
それに比べてロマン派、古典派の時代から「音楽家」は「作曲家」と「演奏家」に分業してしまい、作曲家は自分の思いの通りに演奏して欲しいので装飾音等も楽譜に表すようになり演奏家もその通りに演奏するスタイルになって行きました。
もちろんバロック以後のモーツアルトやヴェートーベン等もアドリブの名手だったに違いありませんが。
と言う事で、
現在の「アドリブ/即興演奏」と古楽等のとは似て非なるスタイルです。
---------広岡祐一----2011年9月16日記-----------------
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